2021.06.11
司法書士の岡部です。
実は司法書士に相続登記をお願いしたのに、一部の不動産が漏れていた、というご相談を受けるケースがあります。
なぜそのようなことが起こるのでしょうか。
毎年4月~6月に届く固定資産税の納税通知書には、所有している不動産が記載されています。
しかし、道路部分などの固定資産税が課税されない不動産や、評価が低く免税されている不動産については、納税通知書に記載されないため、それを基に相続登記を行ってしまうと、相続登記が漏れてしまうのです。
相続で取得した場合、ご自身で購入した不動産ではないため、実は私道部分も持っていた、ということを知らないケースが多いのです。
名寄帳とは、各自治体単位で発行されるもので、その市区町村内で所有している不動産の一覧のようなものです。
この名寄帳には先ほどの私道のような非課税の土地や、評価が低いため免税されている山林などの土地なども基本的に網羅(一部自治体を除く)されます。
そこで、固定資産税の納税通知書には記載されていない不動産も発見することができるのです。
ただし、名寄帳による調査は「その市区町村に不動産を所有している」ことを「知っている」ことが前提なので、亡くなった親が、相続人も知らない所に非課税や免税不動産を所有した場合には漏れてしまうことになります。
例えば亡くなった親が先祖代々の田舎の山林などを相続していた場合で、それを相続人が知らず、固定資産税も課税されていない場合には(1)の名寄帳の調査でも判明しません。
それを防ぐために、親が所持していた権利証を調査することが有効です。
登記をしていれば基本的には権利証(もしくは登記識別情報通知)がありますので、そこに記載されている不動産の記載を調べ、把握していない不動産があれば、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得してください。
もし売却等しておらず、まだ被相続人名義であった場合は相続の対象となります。
一部自治体では(1)の名寄帳にも非課税不動産が記載されない所がありますし、古い権利証などは紛失していることも多いです。
その場合には公図や住宅地図などを確認し、前面道路やそこに至る道路などを調査していくことも重要です。
また、閉鎖謄本を取得し、昔の共同担保目録を確認することも大事です。
昔に完済した住宅ローンだと、現在の登記事項証明書には記載されないため、古い共同担保目録から道路持分を発見することもあります。
以上のように、しっかりと調査しないと司法書士でも相続物件を漏らしてしまうことになります。
相続についてお悩みの方は、渋谷・横浜で相続や不動産登記の実績豊富な司法書士法人プレッジまでご相談ください。