司法書士法人プレッジ

2021.08.4

事業承継と相続

司法書士の金丸です。

 

日本の企業全体の約9割を占める中小企業の経営者の平均年齢は、およそ60歳ともいわれていて、後継者への事業承継は昨今大きな問題となっています。

弊所に日頃ご依頼を頂いているクライアントの社長様からも、ここ数年でご相談を頂く事が増えてきました。

 

事業承継とは経営を引き継ぐことで、言い換えれば、「会社の株式を後継者に渡す」ということになります。

今回は、その中で特に問題となりやすい親族間の事業承継について触れてみたいと思います。

 

株式の財産的価値と経営権について

 

市場で売買されない非上場会社の株式は、具体的にいくらの値がつくかについて日常的に意識していない経営者の方もいるかと思いますが、上場株式、金銭、不動産等と同様に財産的価値があります。

算出にあたってはいくつかの計算方法がありますが、業績が良かったり、資産を多く持っていたりするほど、株価は上がるようになっています。

 

株式を渡すには、売買する・贈与する・相続するという方法があります。

親族間の事業承継では株式の相続・贈与が多いかと思いますが、その際にいくらの資金がかかるのかは事前に把握すべき重要事項となります。

 

そして、株式のもう一つの側面として、経営権というものがあります。

会社の株式の保有数が多ければ多いほど、会社の重要事項についての決定権を持つことになりますので、会社が発行している株式数と受け渡す株式の数の割合も事前に把握すべき重要事項となります。

 

安定した引き継ぎのために

 

親族間での安定した事業承継を行うためには、まずは経営権の側面から、事前に後継者を誰にするのか決める必要がありますが、相続の場合は、遺言書を残しておくことが有効な対策となります。

 

そして、金銭面の負担を軽減するためには、近年大幅に改正された「事業承継税制」を活用することが考えられます。

制度の具体的な内容は割愛しますが、2023年3月末までに「特例承継計画」を提出することで、2027年12月末までに行われた贈与・相続について、その納税額の全額が猶予されるという制度で、先代経営者から事業の承継を受けた後継者が、将来的に、次の後継者に事業を承継させることができた場合には、本来支払うはずの相続税(贈与税)を全額免除してくれる特例です。

 

事業承継の問題は、経営陣、親族のみならず、取引先や従業員の方等あらゆる関係者に大きな影響を与える可能性があります。

ご検討中の方も、ご興味のある方も是非一度、渋谷・横浜で相続手続きに精通したプレッジまでご相談下さい。